車検の準備

あれっ? まるでデジャブのような光景。
二年に一度の車検がまたやってきた。それも3月のゴルフに続いて、今年二回目の車検である。
普段から定期的にメンテナンスしているので、今回も車検整備の項目は最小限で済むとおもっていたら、なんとこのタイミングで運転席側のサイドミラーが突然壊れた。
壊れたのは電動式の可倒機構で、要はスイッチによる折りたたみと展開ができなくなるというトラブルだ。
その原因をネットで調べたら、ミラー内部に収められた数個のウォームギヤとピニオンギアのうち、何故かひとつだけ樹脂パーツでできたピニオンギアがあって、それが経年劣化や摩耗で割れたり欠けたりするというのだ。
さらにこのギアの事を調べていくと、案の定代替品として金属製のピニオンギア(中国製)が売られていて、壊れた樹脂製のギアをこのギアに取り換えることによって耐久性が上がり、さらに長く使えるようになるというのだ。
と、そこまではふんふん、ナルホドと頷きながら説明文を読んでいたのだが、肝心のギアが収められた部分の分解方法を調べようとしても、その情報だけは殆どネットに上がっていない。
もちろんETKも真っ先に調べてみたが、大雑把なイラストとパーツナンバーがあるだけで、とても使い物にならない。
そこで自分のE46についているミラーを取り敢えず分解してみて、大まかな構造とパーツナンバーを確認しようとしたのが冒頭と二枚目の画像である。
ミラーとカバーの取り外しについては今年の4月にゴルフのミラーで学習済みなので何の問題も無かったが、いざカバーを外してみてビックリ! 交換すべきピニオンギアにアクセスするには、フランジ付きの金属パイプを切断するか破壊しないと到達できないようになっている。

つまり、仮にこの部分を破壊してギアを交換したとしても、その時はもう二度と元の状態に組み戻せないということだ。
このような構造になっている理由を考えてみると、おそらくBMWは当初からこのミラー部分を交換可能なパーツで構成する考えは無くて、万一のトラブルの際はアッセンブリーでの交換しか想定していないのだろう。そう考えるとETKの大雑把なイラストの件も、ネットのどこにも分解方法が存在しないのも納得がいくではないか。(※但し、ネット上には少数の「破壊方法」は上がっている)
そこで、これ以上自分で調べるのは無理と判断して、いつもお世話になっているBMWディーラーのSさんに相談してみることに。
手短に状況を説明すると、Sさんはすぐに端末から情報を引っ張ってきて丁寧に説明してくれたのだが、やはり自分が予想したようにBMWはミラー内部の個々のパーツは供給していなくて、アッセン単位での交換のみとのことだ。
但し、どのアッセンナンバーが自分のクルマに適合するのかについては、例えVINコードが分っていても正規ディーラーでさえ厄介な事なのだそうだ。
というのは、仮に自分の2002 e46 325i M-spを例に取ると、以下の項目のどれに該当(yes)し、またどれに該当しない(no)かの組み合わせによって、自分のクルマに適合するアッセンを割り出すという作業が必要だからだ。
・格納機能付きドアミラー
・コンフォートシートメモリー付き
・電動シート調節メモリー
・光沢のあるシャドーライン
さらにケーブルの本数やコネクタ-の形状もそれぞれ微妙に異なるし、とくに2003以降ではケーブル(電線)がフィルムタイプに変更されているから、もう自分のような素人には歯が立たない複雑さといっていい。
結局、最終的なSさんのアドバイスは、「まずミラーを取り外して本体やコネクターの形状を確認し、そこに貼られたシールや刻印のパーツナンバーから逆引きで該当するアッセンを割り出す」という方法だった。
もちろんそんな作業はディーラーに依頼すれば自分は何もしなくていいのだが、当然作業工賃は発生するので、私の事(とくにフトコロ事情)をよく知るSさんは、いつもこんな風に親切なアドバイスをしてくれるのだ。
ということで、次は今年二回目のミラーの取り外し作業だ。
* * *
appendix: BMW E46 サイドミラーの分解(=破壊)方法
続・PCモニターのその後

今年の3月のブログに記して以来、何も書くことが無かったのでそのまま放置しているEIZOのモニターだが、決して購入を止めたわけではない。
実は昨年と今年の2回に渡ってEIZOのショールームに出向いた際、その都度EIZOダイレクトで使える3%だか5%引きだかのクーポン券をもらったのだが、行く度に割り引きのパーセンテージが少しずつ増えるので、スタッフの方に冗談で「次に来ると何パーセント引きのクーポンになるんですか?」と尋ねると、「いえ、このクーポンでお終いです」と笑いながら教えてくれた。
そんな遣り取りがあって、クーポン以外にEIZOの製品を割り引きで買える方法は無いものかとネットで調べてみると、EIZOの株主になると株主優待として20%引きのクーポンがもらえることが判った。つまり、EIZOダイレクトというEIZOの直販サイトでこのクーポンを使えば、どれでも20%引きで買えるというのだ。
これはそれまでショールームでもらっていた3%とか5%といった割り引き率とは桁違いなので、利用できるならそれに越したことは無い。
それに気づいたのがちょうど3月初旬で、仮に株主の権利確定日である3月末までにEIZOの株を100株以上購入しておけば、ひと月足らずで目出度く20%引きのクーポン券がゲットできるというわけだ。
そこで3月16日、株主優待の権利が確定した直後の4月に売却するつもりで、最低購入単位の100株を1株@¥3,773で購入した。
なんだかモニターひとつ買うのに回りくどい話だが、もうこうなったら購入を急ぐ必要は無いし、もしかしたら株価が上がる可能性だってある。(もちろん同じ確率で下がる可能性もあるわけだが。w)
さて、注目の権利確定日、株価は¥4,000前後で推移している。少なくとも購入時の価格より上がっているので、株価による損失はゼロのまま、無事に優待券を獲得できたわけである。ラッキー!
と、そこで話は終わる筈だったのだが、株価の推移やテクニカル指標を見るとEIZOの株価はさらに上がる気配だ。そんなことならもう少しの間売るのを控えて様子を見ようと、4月、5月、6月と持ち続けてとうとう9月になってしまった、というのが現状だ。ちなみに16日の終値は¥5,190だったので、損益は+141,700。
実際にはそこから20%の税金と売買手数料が差し引かれるから、最終的には手取りで¥110,000ほどになってしまうが、それに20%の割り引きクーポン分を加えると、例えば¥208,800の商品が¥57,040の持ち出しで買える計算だ。
で、これからどうする? ということだが、これまで自分はそれほど株の売買に熱心だったわけではないし、知識や経験も殆ど無い。
たまたま今回は失敗(損)せずにいるが、こんなのは完全にまぐれだ。そんな自分でも何となく分かるのは、株は買うより売るほうが難しいということだ。
人間には例外なく欲がある。ことに株の売買ともなると、それが最も濃縮される瞬間でもある。いつ買うかより、いつ売るかが難しいのは1円でも高く売って利益を増やしたい、という自己の欲望がいろんなことを囁きかけてくるからだ。
偶に株やFXで大儲けした人の話を聞くが、その人たちに共通しているのは「引きずらない」ということだろう。
大損をしたり、大失敗をしても、そういう人たちは決してそれを挽回しようとしたり、取り戻そうとしないで、うまく自分をリセットする術を知っているような気がするし、とにかく決断するのが早い。
為替のディーラーで、会社に何百億の損害を出した翌日、平然と業界のパーティーに顔を出すくらいの神経がないとプロのディーラーとしてやっていけない、ということを実際にあるディーラーから聞いたことがある。
そんな器量も度胸もない自分としては、ただ「へぇ~」という間抜けた反応しかできないのが情けないが、たった数万円の買い物でもドキドキしながら買うのが常だから、そんなのは自分とは違う世界の話として頭の片隅に記憶するだけだ。
結局、「いつ売るか? 今でしょ!」という風に簡単にいかないのが株だろうし、EIZOの株ももう暫く推移を見たほうが良いのかもしれない。
HPA6120 完成

今夏はこのアンプをひたすら製作することで乗り切った。
極力外に出ず、自転車にも乗らず、クルマでの外出も必要最小限にして、とにかく猛暑が去るのをじっと待っていた。
久しぶりに手にしたハンダごてや大工道具は勘を取り戻すのに少々時間が掛かったが、完成が近付くにつれて以前のレベルにまで戻ってきたようだ。
先日も書いたように今回のヘッドフォンアンプは手持ちのEtymotic ER4PT用に製作したものだが、カナルタイプのイヤホンにこのような携帯不可能なアンプをあてがうのはかなり異例かもしれない。
だが、外出時はイヤホンで音楽を聴かない自分としては、自宅のオーディオ機器やPCに繋いでER4PTの能力を極限まで見極めたいという欲求が以前からあって、今回ようやくそれが実現したということだ。


ボリュームの数値は0から80まで。
基板の製作はいつものように淡々とパーツをハンダ付けしていくだけだが、今回は電子ボリュームとそれに付随する2桁LEDが加わったせいで、シャーシの加工にかなりの手間と時間が取られてしまうことになった。
ことに2桁LEDの固定と表示窓のアクリル板の取り付けは初めてのことで、2mm厚のフロントパネルに四角穴を開け、そこにピッタリと面一で収まるようにアクリル板を加工するのが最も手間の掛かる作業だった。
しかしその甲斐あって、出来上がったフロントパネルに燦然と灯るグリーンのLEDを目にすれば、それまでの数々のトライアルアンドエラーの苦労も一瞬で吹き飛ぶというものだ。


音源ファイルを収めたNASからイヤホンまでの構成。
1. NAS: QNAP HS-210-D (SSD 2TB) →WIFI
2. PC: ThinkPad X260 + foobar2000 V2.0 (HDDはSSDに換装済み)
3. DDC: CM6631 + TPS7A4700(秋月プログラマブル可変電源キット)
※CM6631はBRZHiFi製リニア電源(50W/12V)で駆動。
4. DAC: DAC 1242-1.5 (OPA627AUx4)
5. HPA6120 (OPA627AUx2)
6. Etymotic ER4PT (セットに付属の変換アダプターを使用すればER4S相当の特性に)
今日の一曲:上記の構成で再生するとライブ録音独特の低域の深さと広がりにちょっと嬉しくなる。
HPA6120 ヘッドフォンアンプのシャーシ

シャーシ加工で活躍する工具たち。この他にボール盤と金属ヤスリも欠かせない。
連日の猛暑のせいで、この夏は殆ど引き籠もり状態でヘッドフォンアンプの製作に集中している。
先日ようやく全てのパーツが揃ったので一番厄介なシャーシの加工に手を付けるが、電子部品のハンダ付け作業からいきなり金属加工の段階に入ると、いつもここで調子が狂ってしまう。
それまでのマイクロチップのハンダ付けでコテ先の繊細な操作に神経を集中していたのに、ここに来ると殆どが力技の連続で、何より金属カスの始末が面倒この上ない。
案の定、スイッチの取り付け穴をドレメルで整形していたら、いきなりルーターが咬みこんで余計なキズをひとつ付けてしまった。ちなみに素人の金属加工は丸穴を開けるのが一番簡単で(しかも綺麗にできる)、角穴が一番面倒で難しい。
冒頭の画像はフロントパネルの加工がほぼ終わり、パーツの配置と向きをパズルのように入れ替えながら検討しているところで、リアパネルの加工はまだ手付かずの状態だ。(だからこの後、ACインレットの四角い穴をまた開けなければならない)
ことにこのアンプはボリューム表示を2桁LEDでするようにしたので、表示窓に取り付けるアクリル板の手配や取付穴の加工など、これまでより一層手間が掛かるようになっている。
おまけに今回は欲を出してボリュームツマミをフロントパネルに落とし込むデザインにしたので、それを実現するためにボリュームシャフトとツマミの切削加工まで加わってしまった。
これなどは音響性能には全く関係のない、単なる自己満足に過ぎないのだが、それもまた自作の楽しさなのだと自分を納得させるしかない。
ヘッドフォンアンプの音出し

バラックでの音出しはいつもカオスの様相。主役のER4PTがパーツに埋もれてしまう。
基板が完成してからちょっと間が空いたが、取り敢えず手持ちのトランスを繋いで音出ししてみることに。
上のような状態で通電したところ、微かにイヤホンから音は出るが、ボリュームを最大にしても殆ど音量が変わらない。
微かにでも音が聞こえるということは重大なミスは無さそうだし、ボリュームツマミを回すとそれに応じて電子ボリュームの数値も変化するのに、不思議だ。
暫く基板の上をルーペでチェックしてみたが、それでも問題のありそうなところは無い。と、ルーペをテーブルに置いて上からぼんやり基板を眺めていたら、何かが足りないような気がしてきた・・・。
あっ、オペアンプだ! オペアンプ挿すのを忘れてる。
慌ててパーツボックスからOPA627を取りだしてソケットに挿すと、今度は何事もなかったように音が鳴りだした。
ふう、ビックリしたぜ。これまでいくつもオーディオ機器を自作してきたが、常に一発で音出しに成功してきた記録が危うく今回で潰えるところだった。
ER4PTに付属していた変換アダプターも使って何曲か聴いてみると、これまでパソコンに繋いで聴いていた音より雑味が無くなった印象だ。
もちろん当初から激変するとは思ってなかったが、例えるなら水道水と石清水の違いみたいなもので、どちらも同じ水だが清涼度がまるで違う。
今日は夕食後から作業を始めて日付が変わる直前に音が出たが、自分で作ったアンプから初めて音が出た時のドキドキと感動は何十年経っても変わらない。自作の醍醐味とはまさにこの瞬間のことを言うのだろう。
試聴に選んだのはこれまた何十年振りかに聴く高木麻早。目の前にあるのは単なる電子回路と工具だが、イヤホンから流れてくる風景は懐かしい青春時代のあれこれ。